2013年8月23日金曜日

ロゼストオーダーメイドスーツ Vol.17

昨日に引き続きまして英国の老舗生地メーカー、本日は「Edwin Woodhouse」をご紹介させて頂きます。


1857年に英国で最も紡績の栄えた町、ハダスフィールドで創業した英国でも屈指のミル(毛織物工場)であり、創業150年を超える老舗であります。

英国の伝統的な手法を守り、クオリティ第一主義を貫きながらもイタリア人のテキスタイルデザイナーを迎え入れるなど、ファッション性にも柔軟な素材開発が行われています。

「Edwin Woodhouse」の生地作りには2つの独自性があります。

1つは原料のクオリティです。通常ミルは紡績工場が生産している糸の中から選び、それをベースに服地を織るのですが、「Edwin Woodhouse」では紡績工場にオリジナルの糸を発注し、その糸をベースに服地を織っているのです。自社の織機、仕上げの工程等に相性の良い素材を作らせる事で、品質を一定に保ち150年以上もの伝統を保っているのです。

もう1つは仕上げの工程です。天然の地下水を使い木製の漕で行う「ウェットフィニッシング」。生地と生地の間に紙を挟み幾重にも重ね、その紙に熱と圧力をかける事で独特の光沢感を出す「ペーパープレス」といった英国伝統の工程を頑なに守り続けています。

個人的には英国の他社メーカーに比べ、少し固めの生地感と鈍い上品な光沢感を備えている生地といった印象を持っています。

代表的な素材ですが、最もおススメなのが1960年代に開発された「AIR WOOL」と呼ばれるフレスコ地に端を発する強撚糸を使ったシリーズです。さらっとしており通気性が良く、シワにもなりにくいこの素材の登場で、「Edwin Woodhouse」の名が世界中に広がることとなったエポックメイキングな素材です。

現在ではこの「AIR WOOL」をベースに混率やウェイトを変える事でバリエーション豊かになっており、様々なシチュエーションでこの伝統的素材を楽しむ事が出来るようになっております。


「AIR WAY」
モヘア混とし、ウェイトを240g まで落とす事で日本の夏場でも着用出来るクオリティとなっています。


「SUMMER COMFORT」
ウール100%でウェイトを240gとしたスーツ素材。「AIR WAY」よりしなやかで豊富な色柄のバリエーションが揃っています。


「SUMMER PANAMA」
上記2つのクオリティが「AIR WOOL」伝統のフレスコ織を踏襲しているのに対し、こちらは通常の平織り素材。Super120'sの細目の原毛を使い、200gという超軽量に仕上げた新しいクオリティです。このブランド得意の強撚糸を用いる事で高番手ながら驚異の耐シワ性、通気性を備えています。


「DIGNITY」
厳選したSuper150'sウール素材にカシミアを2%だけ混ぜるという英国ならではの素材。原毛の良さを引き出すペーパープレスによる鈍い光沢感は格調高い仕上がりに定評があります。ウェイトは260gですので3シーズンお使いいただける最も汎用性の高いウェイトと言えるでしょう。


伝統的な英国調の生地がお好きな方には一番にお勧めしたいメーカーの一つ。特に春夏のスーツ選びには欠かせない存在感のあるメーカーです。